60点の初稿から始めるのが速い
この記事についてAbout this article
ゴールGoal 60点を直す進め方で速く仕上げる
こんなあなたへFor you if 一発で思い通りにならず悩んでいる方
この記事の要約Summary
一度で100点を狙うとかえって遅くなります。60点の初稿を直す進め方と、修正指示の3つのコツです。
- 所要時間Time
- 4分
- 必要な準備What you need
- ー
一発で100点を狙うより、60点を直すほうが早く着きます。
※2026年9月時点
AI の 1 回目は 60 点で正常です。一発で 100 点を狙うより、出す → 見る → 直すの三周のほうが速く着きます。何が足りないかは、出してもらって初めて見えるからです。
「一回でうまくいかないのは普通?」
AIに仕事を頼み始めた方から、少し申し訳なさそうに、こんな質問をいただくことがあります。
この記事は、その疑問へのお答えです。 先に結論をひとことで言うと、こうなります。
普通です。 というより、それが正常です。 AIの1回目の出力は60点で当たり前。 60点のたたき台を磨いていくのが、実はいちばん速い仕事の進め方です。
「一発で100点」は、かえって遅い
真面目な方ほど、こう考えがちです。 「一回で完璧な結果が出ないのは、自分の指示が下手だからだ。完璧な指示文を練り上げてから頼もう」
気持ちはわかります。 でも、この進め方はかえって遅くなります。 なぜなら、何が足りないかは、一度出してもらって初めて見えるからです。
人は白紙から想像するのが苦手です。AIは想像力を代行せず、こちらのイメージを増幅するだけの道具だからです。
くわしくはこの記事でAIは想像力の増幅器イメージを濃くする2つの技術は、この記事にあります。
完璧な指示文を白紙の前で練るより、60点の初稿を見て「ここが違う」と言うほうが、ずっと簡単で、ずっと速い。
人間の仕事でも同じはずです。 新人に頼んだ資料の初稿が60点だったとき、「一発で100点でないから失敗」とは考えません。 初稿とは、直すために存在するもの。 AIとの仕事も、まったく同じリズムで進みます。
やり直しのコストが、ほぼゼロ
ここで、AIならではの事情がひとつ加わります。
人間相手なら、やり直しの依頼には気を使います。 相手の時間を奪うし、3回も差し戻せば空気が重くなる。 だから私たちは「一発で決める」ことに価値を置いてきました。
AIには、この遠慮が要りません。 やり直しは何度でも、数分で、嫌な顔ひとつせず。
この前提に立つと、仕事の組み立てが変わります。
- 従来:準備に時間をかけ、失敗しないように一発で作る
- これから:まず出す→見る→直す、を高速で回す
v1を見て2箇所直させ、v2を見てさらに1箇所。 数回のやりとりでv3が実用レベルに──この回転の速さこそ、エージェント時代の仕事の速さの正体です。
見どころ:白紙から「使える形」までの道のりを、2つのやり方で並べています。
- 上の道。白紙のまま完璧な指示文を考える時間が長く、書き始めるのは終盤です。
- 下の道。まず60点の初稿を出させて、そこから小さく直しを重ねていきます。
- 縦の点線。同じ時点で見ると、下の道はすでに「使える形」に届いています。

(点数と道のりはイメージです。実際の回数や時間は、仕事の内容で変わります)
修正指示の3つのコツ
たたき台を効率よく磨くための、修正指示のコツを3つ紹介します。
「違う」ではなく「どう違う」を言う
「なんか違う」では、AIは別の当てずっぽうを返すだけです。 「表現が硬すぎる。お客様への手紙のような柔らかさに」。 前回の「イメージを言葉にする」練習が、ここで効いてきます。
一度に直すのは1〜3箇所
10個の修正を一度に投げると、直り漏れや意図の取り違えが起きやすくなります。 大きな骨格から先に直し、細部は後で。 人への差し戻しと同じ順番です。
良かった点も伝える
「表の形式はこのままで、文章だけ短く」。 残したい部分を明示すると、直してほしくない所まで変わってしまう事故を防げます。
「どこで止めるか」も、あなたの仕事
最後に、磨きすぎの話もしておきます。
やり直しコストがゼロに近いからこそ、際限なく磨きたくなります。 でも、社内の確認用メモに100点は要りません。
目安はシンプルです。 その成果物の目的に照らして、十分かどうか。
- 社内のたたき台 → 70点で十分
- お客様に出す文書 → 人の目で仕上げて100点に
「どこで止めるか」を決められるのは、目的を知っている人間だけです。 仕上がりの見極めは、AIに任せられない、あなたの大切な役割です。
まとめ:完璧な一発より、速い三周
AIの1回目は60点で正常です。 完璧な指示を練るより、まず出させて、具体的に1〜3箇所ずつ直させる。 やり直しのコストがほぼゼロになった今、「出す→見る→直す」の三周が、一発の完璧より速く、良いものに辿り着きます。
そして、初稿のどこが違うかを言い当てる目、どこで止めるかを決める判断──磨きの工程は、実は人間側の力の見せ場です。 道具が速くなったぶん、「直してもらい方」が腕の差になります。
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